概念
インフレとインフレ期待
主要物価指標、実現値と期待、base effectとsurpriseを区別する。
要点
一回の物価発表はトレンドではありません。予想との差、改定、内訳、広がり、政策への含意を順に読みます。インフレ率低下は、物価水準の下落ではなく**上昇速度の鈍化**です。
CPIとPCE
CPIはBLSが家計の自己負担を中心に消費財・サービスの価格変化を測ります。PCE価格指数はBEAの国民経済計算に基づき、第三者負担を含む範囲、品目ウェイト、代替の反映方法が異なります。どちらかを単純な「真の物価」にしません。
ヘッドラインは全品目、コアは通常、変動の大きい食品・エネルギーを除きます。コアは基調を見る補助ですが、家計の生活費全体ではありません。
内訳を読む
- **財**: 供給網、在庫、為替、需要正常化。
- **サービス**: 人件費、家賃、保険など持続性が異なる。
- **住居費**: 指数への反映に遅れがあり得る。
- **賃金**: サービスコストと需要の情報だが、一対一の物価式ではない。
- **エネルギー**: ヘッドラインと期待、企業投入費用を短期に動かし得る。
中央値だけでなく、上昇品目の比率や分布の裾など**広がり**を見ます。
表示方法の罠
前月比は直近の勢いを見やすい一方、ノイズが大きい。前月比の年率換算は「同じペースが続く」仮定を置く。前年比は基準月の急変というベース効果を受けます。季節調整は通常の季節性を除く推計で、モデル更新や改定があり得ます。
期待インフレ
家計、企業、専門家調査は対象・期間・質問で違います。市場インプライド指標は迅速ですが、ブレークイーブンにはインフレリスク・プレミアムと流動性差が含まれます。
発表を読む順序
- 公式発表時刻と系列を確認する。
- 実績とコンセンサスを同じ表示単位で比べる。
- 前月値の改定を確認する。
- ヘッドライン、コア、財・サービス・住居・エネルギーを見る。
- 1か月、3か月程度の勢い、前年比を混同しない。
- 2年金利、実質金利、ブレークイーブン、ドルの反応を確認する。
- 最後に価格構造が初動を受け入れたかを見る。
なぜ同じ数値で反応が変わるか
市場は絶対値ではなく、事前の織り込みからの変化を取引します。弱い物価が成功したディスインフレを意味すれば株を支え得ますが、需要崩壊の兆候なら利益と信用を悪化させ得ます。強い数値も、成長を示すか政策引締めを迫るかで反応が変わります。
注意点と根拠の限界
公式定義のconfidenceは比較的高い一方、発表後の方向予測はポジショニングとレジームに依存します。単月値から永続的な因果や売買規則を作りません。