概念
タームプレミアム
長期債を保有する不確実性への上乗せと、その推計の限界。
要点
長期利回りは観察できますが、タームプレミアムは観察できません。モデルが「予想短期金利平均」と残りの上乗せへ分解した**推計値**です。
仕組み
概念上、長期利回りは将来の短期金利平均期待とタームプレミアムに分けられます。長期債はデュレーションが大きく、金利やインフレ見通しの誤差で価格が大きく動くため、その不確実性を保有する対価が要求され得ます。
上乗せを変える候補には、インフレ不確実性、財政とTreasuryのデュレーション供給、銀行・年金・保険・海外投資家・中央銀行の需要、ディーラーの仲介能力、QE/QTがあります。どれも単独で機械的に決まりません。
観察値と推計値を分ける
| 項目 | 性質 | 読み方 |
|---|---|---|
| 10年・30年利回り | 市場から観察 | 複数成分の合計 |
| 政策先物 | 市場価格から推定 | プレミアム等を含む |
| ACM term premium | モデル推計 | 仮定・標本に依存 |
New York FedのACMのようなモデルは有用な比較道具ですが、別モデルでは水準や符号が違い得ます。日々の小さな推計変化を確定事実にしません。
政策経路が変わらず長期金利が上がる場面
インフレ分布の不確実性、国債供給見通し、QT、買い手の価格感応度、ディーラー制約が長期保有の対価を押し上げる候補です。この場合、2年や政策先物が小動きでも10年・30年が上がり、ベア・スティープ化し得ます。ただし「長期だけ上昇=財政不安」と即断せず、ブレークイーブン、実質金利、入札、信用、ドルを照合します。
資産への接続
長期実質割引率上昇は長期債と高バリュエーション資産へ逆風になり得ます。一方、成長期待改善で利益が上方修正されれば株は耐え得ます。金も実質金利の逆風と財政・安全需要が競合します。
注意点
供給と利回りの因果は期待、発行構成、需要で変わります。一回の入札や一つのモデル推計をレジーム認定や売買シグナルにしません。